黒猫 サビ猫 毎日が三拍子

人生は三拍子、ときに変拍子。

薪能で黄昏る

薪能に行ってきた。三保の松原で羽衣の舞。地元では何度も開催されているけれど私は初めて。能もまだ二度目。あの独特の囃子とゆっくりとした動きがたまらなく心地いい。海の近くで、黄昏時に、薪の燃える音や匂いを一緒に感じながら能を観るというのは、なかなかの幸福感が漂う体験だった。そういえば一緒に行った友人が、能の関係者が亡くなった時に必ず枕元で唱える演目があると言っていた。あの能ならではの台詞まわしには、何か特別な波長があるとか。祈りのような。癒しのような。観ていて「眠くなった」という感想も、その観点でいうといい波長が出ていたということで、能の演者にとってはあながちネガティブなことでもないらしい。古典芸能、懐が深いな。