黒猫 サビ猫 毎日が三拍子

人生は三拍子、ときに変拍子。

歩く

セールスマン風のその男の人は、形の崩れた黒い営業かばんを持ち、
焦点の定まらない目をして、膝を曲げ、
残暑に背中を押されるように歩いていた。

訪問販売のノルマがあるのだろうか。
そのノルマは、彼がどんなに努力しても達成の見込みがないのだろうか。

彼は歩く。
右足を前に出し、その次に左足。そうすれば自然に一歩前に進む。
人生はそのくり返し。
そうやって、彼は生きている。
そうやって、わたしたちは生きている。

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