黒猫 サビ猫 毎日が三拍子

人生は三拍子、ときに変拍子。

夕暮れ時を過ごす家

新しい家になってよかったことの一つは、日出と日没の両方を窓から眺められるようになったこと。
日が昇る。日が沈む。その瞬間を窓から静かに楽しめるのは、お金はかからないけど贅沢なことだ。

とはいえ、実際にわが家でその豊かさを手にしているのは、2匹の猫だけだ。人間はといえば、ガッタガッタと不規則なリズムを慌ただしく刻む暮らしぶり。引っ越してから、ゆっくり窓を眺める、なんてことはなかった。

そういえば人生の終盤近くになって家を建てることになった時に、「夕暮れ時を過ごす家」にしようと決めていた。西側の緑が豊かで空も広く、夕焼けがきれいに見える家という意味でもあるし、ついの棲家という意味もある。

「あれ、いつのまにかこんなに日が落ちてる…」

老いは夕暮れのように、気がついたらそこにある。

時間に追いかけられているうちに、人生の日が落ちていた、なんてことのないように、一日一日、ゆっくり今日を、今を、楽しもうと思う。

猫みたいにね。